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赤松林太郎氏のモーツァルト協奏曲を聴く

今年10月13日に東京で行われたロイヤルチェンバーオーケストラの定期演奏会で赤松林太郎氏がモーツァルトのピアノ協奏曲20番を弾いた。指揮者は堤俊作だった。その公演を聴きに行くことはできなかった私に、録音をくださったので以下はそれを聴いての感想。

モーツァルトが短調で書いた曲(たとえば交響曲40番やピアノソナタ8番などもそうだが)は、悲劇性に溢れて、長調の作品とはまったく異なった趣をたたえる。ある作曲家の作品について、長調作品と短調作品を比べてどちらが優れているかなどという議論がこれほどなされるのは、おそらくモーツァルトぐらいだろう。今はそれを詳しく論じる場ではないが、このピアノ協奏曲20番は短調作品の中でも代表的な一曲で、聴く者は美しき悲哀に酔いたいと望む。

―――と、前置きを書いたのは、第1楽章のオーケストラの序奏が、あまりに起伏に乏しく平坦だったからである。そこへきて赤松氏のピアノは、出だしから早々にあたかも「人の家にズカズカと土足で上がり込む」かのように、ロマンティシズムを濃厚に発揮する。やはりこの曲はこうでなくちゃ。私は、赤松氏の弾くモーツァルトはどこかよそ行きの衣装をまとった感じを受けるときがあるが、今回はそうではない。両端楽章は、カデンツァの面白さ斬新さもあいまって素晴らしい。カデンツァは自作と聞いたが、カデンツァに入った途端にタガが外れたように疾駆する赤松氏、実に楽しんでいる。

赤松氏は近く指揮者としてデビューする予定であるが、かねてより「指揮者に向いている」「指揮をするべきだ」と複数の方々から指摘されていたらしい。今回聴いてみて思ったが、ピアノがオケをコントロールしていた時間があった。それだけの技術をもっているということだろう。指揮者としての活躍が楽しみであり、いつかは協奏曲の弾き振りも聴いてみたいところである。

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2007年11月21日 02:20に投稿されたエントリーのページです。

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