クロマチックハーモニカの魅力と技術および限界について(1)(2009.04.12)
6才の時より12年間、私は故小林忠夫先生からハーモニカを教わった。ハーモニカという言葉から人が通常想像するのは複音ハーモニカやブルースハープであろうが、私が習ったのはクロマチックハーモニカである。以下にただ「ハーモニカ」と書くときは、クロマチックハーモニカを指す。師匠亡き後も、大学・大学院時代の6年間は、クラシック室内楽のサークルに所属し、研鑽を深めた。しかし、社会人になって以降の4年間は、楽器を触ることを半ば意識的にやめた。大学・大学院時代にクラシック音楽にどっぷりとつかり、多くのヴァイオリンやピアノの奏者と親しく接する機会をえたのはかけがえのないことだったが、それがかえって、私の音楽性の未熟さを痛感させたし、さらには、ハーモニカはクラシック音楽を弾く楽器としては発展途上にあると知らしめた。私がもっと音楽性豊かだったなら、社会人になってからも寸暇を惜しんでハーモニカを持ち、その技術や楽器構造を変革する試みを行ったことと思うが、それは夢物語でしかない。
―――とはいいつつも、実はこの3月末から4月初めにかけて、ほんの余興にハーモニカを持たざるをえない機会が3度あり、そのために約1ヶ月間練習を重ねた。演奏したのは、
バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータよりクーラント
シューマン:アダージョとアレグロ
レクオーナ:マラゲーニャ
という3曲だった。短い練習期間に加え、酔いがまわった状態での演奏だったから、評価云々には値しないが、学生時代にそれなりに音楽と真剣に向き合った中で考えたことを思い出すには充分だった。少しばかりは後進の役に立つのではないかと信じてそれを記す。余計な親切かもしれないが、私が大学3回生の時に京都市の府民ホールALTIで演奏したときの録音を、以下の稿をお読みいただく際の多少の助けになるかもしれないので載せておく。
フランシス・シャグラン作曲 ルーマニア幻想曲(mp3)